迎賓館17周年企画も終盤です。
「わたしの17歳の想い出」第2弾は総料理長・中村実です。
前回アップした支配人・西川と中村は1歳違い。
まさに同世代です。
西川は大阪で、中村は東京でそれぞれの青春時代を過ごしていました。
全てを載せることができなくて心苦しいですが、全体を通して感じたのは、青年・中村の周りにはキラキラした大人が多くいたんだなということ。
愛情たっぷりでユーモアがあって、周りの人を惹きつける魅力はこの頃から培われたんだ、と感じることのできるインタビューとなりました。
目に映る色々なことに興味を持ち、そしてやってみる。
おしゃれな"イケてる"大人に囲まれていた中村の青春時代。
料理人を志してフランスに発つのはこの頃よりもう少し後です。
―ムッシュ、今日はよろしくお願いします。
(私たちスタッフは中村のことを、愛情を込めて「ムッシュ」と呼びます。)
「ああ、もう40年も前の話かー。ずいぶん歳取ったなあ」
―ムッシュの青春時代。17歳の頃のお話を聞かせてください。
写真を持ってきてくださったんですよね?
―すごい!ムッシュ!!
「まさしく17・8の頃だよ」
―細い!そしてイケメンですね!これはモテたでしょう??
「モテないよ!はっはっは」
―これはどこですか?
「ハワイ。高3の夏休みに留学する為に下見で、西海岸とハワイへ自分でアルバイトしたお金でひとりで行ったんだ」
―ひとり旅!!すごい!!
「アメリカ西海岸は、無謀な若者にはちょっと冷たいところで・・・
でもハワイは観光地だし、気候もいいし、留学してきている日本人もいっぱいいて・・・
友達もできたから、本当は1週間の予定だったのに、居心地が良くて2週間ちょいいた・笑」
―携帯電話もない時代に!親御様も心配されたでしょう?
「あんたいつ帰ってくるの!早く帰ってらっしゃい!二学期が始まるわよ!と母にすごく怒られた・・・笑」
―旅行資金はどうしたんですか?
「僕が中2の時に、母の友達が近所におしゃれな喫茶店始めたんだよ。そこをずっと手伝ってお小遣い稼ぎしてた。」
―そこで貯めたお金で、ハワイに行かれたんですね。
その当時に海外旅行、しかもひとり旅なんて平気だったんですか?
「平気じゃないよ!高校時代の友達のお兄さんが、旅行会社で働いていて。JTBとかそういう大手じゃなくて、格安航空チケットを扱っている会社でさ。
当時千駄ヶ谷にあったおしゃれなオフィスによく遊びに行ってた。
そのお兄さんがしょっちゅうスイス行ったりパリ行ったりしてて、すごく格好よかった。
僕もそんな仕事したいなーって憧れて、漠然と海外に行って仕事したいな、貿易の仕事とかいいな、とその頃は思ってたから、高校を卒業したらアメリカに行って英語身につけて・・・って40年前は思ってた。
そのための下調べですね。」
―高校3年生って本当に人生の岐路ですよね。ムッシュは大学に行かれたんですか?
「行きませんでした。手に職つけた方がいいと思ってね。
当時よく先輩に連れられて行っていた赤坂に、いくつか海外資本のお店があって給料も結構良かったからそこで働こうと思って。料理も好きだったし。」
―そこで働いたことがきっかけで、フランスに興味を持たれたわけですよね?
「そう。人との出会いでね。そこの料理長がフランス帰りで、日本人離れしててすっごくヨーロピアンで格好良かった。
当時は、日本にそういうフランス帰りの新進気鋭のシェフたちが店を出し始めた時代。
そういう店に行っては、食べたことのないような料理を食べて感動して。
先輩に"今日はどこそこでこういう料理を食べています。すっごく美味しいです!"なんて電話で無邪気に報告したりしてさ。
すると先輩は"ちゃんとデザートまで食べておいで!"とか言ってくれて・・・
天皇の料理番というテレビドラマも大きな影響でしたね。」
―へえ。本当にムッシュの周りには当時から素敵な先輩や大人がたくさんいたんですね。
「そうだね。その人にいくら実力があっても、人との繋がりがないとやっぱり大きくなっていくのは難しい。大切なのは人との縁。
感謝の気持ちがとても大事だなあと感じる」
―今の若手のスタッフたちにムッシュがそうされたように海外に出て経験してほしいな、と思われますか?
「それは絶対そう思う。ひとつのものさしではモノは測れないから。
本当にこんなに恵まれた国はないと思います。それは(海外に)出たら分かります。
僕自身、修行時代、嫌なこと辛いことなどたくさんあったけど、今思い出すことは楽しかった想い出ばかり。
フランスに育ててもらったことに感謝しています。
視野を広げるということは本当に大事ですね。」
―たくさんお話を聞かせていただきありがとうございました。
最後に、2020年に向けてムッシュの夢を聞かせてください。
「3年後か。還暦ですね。その頃も変わらず、若手の育成もそうですし、迎賓館に貢献していたい。
3年後ならまだ鍋振れてるかな・・・笑
その後は奥さんとふたりで、南フランスかハワイでのんびり余生を送れたらいいな」
(インタビューは以上です)
***
17歳というのは人生の岐路に立たされる歳。
なんでもできる気がするし、周りから見るとまだまだ未熟者。
迎賓館はそんな、なんだかちょっと甘酸っぱい青春時代を迎えていると言えます。
まだまだこれからの未来が楽しみな私たち。
これからも皆さまの支えで、もっともっと「しあわせな結婚式を」。
18年目もよろしくお願いします。